固執せずに、時代の流れに柔軟であること。

時代の流れに順応すること

「あの頃はよかったな」
古き良き時代というのは確かだと思います。
その時代あって、進化したものがシステム化して
インターネット化していってます。

仕組みがわかった上で、この時代にいることは
僕らの世代でいうと強みなのかもしれません。

音楽とCDへの憧れからの戸惑い

僕の世代は音楽をカセットテープ>CD>MD>ipod
と、聞くためのハードを渡り歩いてきた世代である

その中でも特にCDの影響はでかく
小学生の頃はCDを手に入れただけで
とても興奮していたことを覚えています。

それは高校生の時になっても変わらなくて
渋谷のTOWER RECORDSで買ったCDを
帰りの電車の中で封を開けて、CDウォークマンで帰り道に聴いて帰るほどだった。
普段、歌詞カードを観ないほうだけど、この時ばかりは最初の曲目から、
最後のクレジットまで、まるで映画を見るような気持ちで見ていた。

そんな気持ちで音楽と接していた人たちはきっと同じような気持ちだろう

CDへのこだわり

僕は大学生〜33歳までバンド活動をしており
世の中的にはミュージシャンでした。

その当時組んでいたバンドメンバーは僕が最年少で
主に作曲していたボーカルは僕より6つ上で、よりCDに近しい人でした。

彼に限らず、その当時の僕らは
バンドをやる>ライヴやる>CDをリリースする
というのが当たりまえの流れでした。

しかし、時代は変わってipodなどのmp3ウォークマンが
世に出てきました。

当時の音楽好きユーザーは気に入ったCDを、MDにコピーして
MDウォークマンで聴いたり、自分でセレクトしたMDを貸したりしていました。
僕は当時から、もっと持ち運びやすい形になったり、メールとかで共有できたりしたらいいのにな。
などと思っている中で、appleからipodが発表されたのです。

初代ipodを買ったら笑われた

 

2001年のこと。
初代ipodは20GBで60,000円もしました。
今のipod touchと比べると歴然ですが、128GBで32,800円で買えるし、フルスクリーンの液晶までついてます。
見た目はiphoneですしね。

そんなipodを「ついにきたー!!」と学生ながら、すぐに購入しました。
なんといっても、mp3で2,000曲近いデータを持ち歩けるんです。

今、思えば僕の音楽に関する興奮はここでピークに近いところにいたのかもしれません。

MDユーザーの友達からは、
「え、これに6万出したの?」と笑われたりもしましたが、
なんで、このすごさ、便利さがわからないのだろうか。と思っていました。

さらに時代は変わり
ストリーミング配信をサービスとするサイトが多くなってきました。

そうなるとレコード会社も、予算少なく配信リリースを選ぶようになりますが
僕ら世代には「はいそうしましょう!」と返事をするような感覚はまだなかったのです。

聴かせたい人と、聴きたい人

音楽を所有するということ

当時はまだiphoneなどもなかったので
音楽を聴くユーザーは
CDウォークマンか、ipodなどのmp3プレーヤーが主だと思います。

しかし、mp3プレーヤーですら
あまり普及されておらず、配信しても、聴いてもらえないんじゃないか。
求めているユーザーに自分たちの音楽は届かない。そもそも形のないものに
お金を払うことが理解できない、実物がないと実感がない。

という”所有する”という意識がないことに戸惑っていました。

iphoneが発売されて変わる

ある年に通信業界に大きな発表がありました。
ある意味、音楽業界にも大きなことでもあったと思います。

ちょうど9年前となる2007年の1月9日(時差により日本では1月10日)、初代iPhoneが発表されました。

iphoneが発売されて、電話ひとつで、音楽も聴くことができるようになったのです。

「そう、iphoneならね」

これにより、他の携帯会社もmp3などのデータ音源を聴くことができるスマートフォンを
発売するようになり、初代ipodを持っていた僕を笑っていた友人も当たり前のように
ガラケーからスマートフォンに変わっていきました。

なんとなくのイメージですが
音楽をmp3で聴くユーザーが
20%→60%ぐらいに増えて行くきっかけになったのではないかと思います。

音楽配信サービス

myspace、audioleafなど今の20代にはピンとこないかもしれませんが
当時は上記のようなサイトで音楽をアップロードができて、視聴したり
曲によっては無料、有料でダウンロードすることができました。

itunes storeでも、音楽配信が始まり、
様々なレコード会社もCDリリースと同時に配信リリースを行うようになりました。
今となってはこの形は何も違和感がないと思います。
自分でも不思議なくらいです、当時はとても違和感のあることでした。

データ配信、ダウンロードは簡単に
共有もできてしまうので、賛否両論がありました。
SONYに所属するアーティストの音源は配信されなかったり
データを共有できないように制限をかけたCCCDまであったくらいです。

CCCDって、もう誤字?って思われそうなワードですよね(笑)

CCCDとは
(1)音楽CD、データCD、ビデオCDの区別をするための情報が書き込まれていないのでパソコンは何のCDだか判別できない。
(2)音データにわざと誤情報をいれて(キズがついたような状態にして)エラー訂正機能が弱いパソコンでは再生できなかったり音飛びしてしまう。
という2重の方法でパソコンによる再生を阻止する手法(パソコンでのコピーを阻止する手法)です。

 

CD or 配信リリース

元ミュージシャンとして
CDと、配信リリースのコストの違いについて
簡単にお伝えしておきます。

リリースしたい楽曲ができてきた頃に
やること、それはレコーディングです。

1:レコーディング
レコーディングはレコーディングスタジオを借りて行います。
みなさんがカラオケの部屋を貸し切って、防音、音響設備の整った環境で楽しむのと似ていますが
その何倍もの設備が整っているスタジオを相当な費用をかけてレコーディングをします。
※ここでは宅録は一旦例外とします。

2:マスタリング
録音した音をいろんなスピーカーでいい感じに聴くことができるように
音の調整を行います。
ここでは、様々な環境を想定して、わざと、しょぼいスピーカーで聴いたり、iphoneで、純正のイヤホンを
使って、確認したりします。
※ミュージシャンは良いスピーカーや、ヘッドフォンに慣れているため、わざと一般的な環境で確認するのです。

CDの場合

さて、いよいよ音源データできました。
ここからCDリリースの場合はその音源をみなさんに届けるために
CDを作りパッケージしていきます。

CDの歌詞カードや、ジャケットなども撮影、デザインをしたり
ケースも様々な種類の価格帯から選び、こだわります。
ここまで何ヶ月もかけて、音楽を作り、パッケージを作るわけです。

そんだけ工数のかかったCDは平均3,000円という金額をつけられ販売されます。
1曲ずつCDにしていたら大変なので、アルバムCDにして販売するわけです。
アルバムというのはアルバムコンセプトが先だったのか、まとめ売りするためのアルバムだったのか
どちらが先だったんでしょうね、、、

配信の場合

配信の場合は、音源ができたら、もうすぐにでもリリースすることができます。
配信サイトにアップロードしたら、即購入可能だし、アルバム単位でなくても
曲単位でも、購入することができます。
CDのようなパッケージも印刷工程などは不要で、作ったジャケットのJPGなどの画像データを
一緒にアップするだけです。

音源を作るまでは大変ですが、そのあとの工程は歴然の差です。
製作に関わる業者も、人数も、費用もまったく違います。
だから、配信リリースというのは曲単位で100円とかで配信ができてしまうのです。

つまり、僕が言いたかったこと

時代は変わり、需要と供給のスタイル、あとはそれを資本としている会社も変わっていっています。

CD全盛期はTOWER RECORDSか、HMVが2大勢力で
街中のCDショップは消滅していった2000年。
しかし、その10年後くらいに、HMVの店舗が閉店し、
渋谷のTOWER RECORDSも縮小していっています。

今、インターネットが普及して、全世界での共有ができるようになった時代。
様々な文化が、受け手側の需要が変わってきています。
ほぼほぼ同等のものが手に入るのであれば
安くて、手軽に手に入るものがあれば、そちらを選びます。

音楽に限らず、販売店の実店舗に出向いては価格をネットで調べて
ネット店舗で購入したりする時代です。

ここで、頭を切り替えたり、もともと古い考えのなかった若手世代が
スムーズにインターネットを受け入れて、形にこだわらずに
「もはやCDは古い」と割り切って、配信する時代になっているのは
頭が良いとかではなく、LPレコードから、CDで出すようになったのが当たり前だったころと
同じ流れになっています。

古き良き時代は確かであり、これは間違いないです。
より仕組み近いことを経験した時代だと思います。

原始時代に石を削ってナイフを作った人というか、猿のようなものがいたから
現在の包丁ができて、セラミックの包丁ができてるわけですから。

こだわりを捨てられていないものがもっとあるはず

供給する側がこだわりを捨てられない、需要側にこれに気付かれては
自分たちの仕事がなくなると思っている事はもっとたくさんあると思います。

僕は最近、他にどんなことがあるかなと考えています。

だいぶ前ですが、セブンイレブンがコンビニで生ビールを販売しようとして
販売前から、話題になりすぎて、消滅した企画がありました。
これが当たり前になったら、居酒屋でビールを飲むのも、コストを考えると
ばかばかしいですし、居酒屋も半数は潰れて、ビール会社も社員を維持できずになることでしょう。
でも、そんなの関係なく、コンビニが力を持っていればやればいいんでしょうけど
きっとできない理由=力 がそこには隠れているんだと思います。

他には年賀状における郵便局なども同様です。
もはや、紙で送る必要はないけど、そのネットで年賀状な文化が広まると
数十万枚の年賀ハガキの収入、それを配る配達員がなくなってしまいます。

これは余談ですし、僕が100%悪いんですけど、
自転車をスーパーの前とかに置いておいて
撤去警告の貼り紙を貼る仕事をしている人たちも
取り締まれば取り締まるほど、みんなが放置自転車をしなくなってしまったら
その仕事も、撤去作業する人も仕事がなくなっちゃうことがわかっているのだろうか。と
路上駐車の件は反省しつつ、物事の仕組みを皮肉ったりしてしまいます。

実は僕ら世代って過渡期だけど、とても有利な立場なのでは?

 

インターネット前と、インターネット後を知っている僕らは
物事の成り立ちもしっていて、どのように便利になったかを知っている。って
すごいことなんじゃないかと思った。

今現在って、ボタンを押せば動くものだったり、仕組みがわからなくても
どうにかなるものばかりだ。

今のSNSのコメントを遡ると、BBSと言われていた掲示板のようなもので
そして、掲示板というのはそもそも、駅などの公共の場に、黒板と、チョークが置いてあって
待ち合わせの時に
「○○へ 遅いよ!先に○○にいってます!」
と伝言するのに使っていた。

そんなことはLINE世代には
まったく理解できないことだと思う。

これからも、時代の流れに敏感でいて
古き良き時代に固執しない柔軟さを持ち合わせようと思う。